【週末のひとりごと】2019年、中国に来て感じたことのまとめ

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過去の成功体験に雁字搦めだった私

4月から中国に来て、7か月が経った。中国での生活も残り5か月。ここで、中国に来て感じたことを一気に書き出してみようと思う。※今までタイムリーに更新できなかった分すっごく長くなります。

過去のブログを読んでいると、中国に来る前には「過去の成功体験」に雁字搦めだった。信頼貯金で生きていることへの罪悪感や、過去最高を超えなきゃいけないという自分への圧とか。

今見ると「そんなことは場を離れたら関係なくなるよ。」「けれどその経験が自分の自信に繋がっていて、語る機会はなくとも一生自分の中に残り続けるよ。」「これだけの事が出来た、自分がこの場所に居た意味があった、と思える出来事に違いない。」そんな風に感じる。けど本当に「場」を変えないと、きっといつまでも同じだったんじゃないかなとも思う。

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私の過去を知る者は一人もいない

中国に来て、過去の自分のことを良くも悪くも知らない仲間たちと働く事になった。もちろん「日本から来た駐在員」として、お手並み拝見的な見られ方はあったと思うけれど、その判断は過去の実績ではなく「これからの実績」で判断されること。過去の自分がどれだけ素晴らしい仕事をしていたかなんて、中国のみんなは知らないし気にしてない。

だから自分自身も、ここで過ごせば過ごすほど日本で固めた鎧や拘りが薄れていく感じがした。それが完全に良いことではないと思うけど、そんな風に「固執」が取り除かれた状況で残ったものが今後別のステージに移った時にも自分が持ち運べる資産になるんだなと思った。

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残るのはスタンス

幸いにも今の仕事内容は環境こそ違えど日本と流れは同じなので、1か月あれば概ねのキャッチアップが出来た。けれど最初は中国語も出来ないので「そもそもお客様の社名すら読めない…」という営業のスタートラインにすら立てない圧倒的無力からの始まりだった。

日本のスピード感そのままに中国に来たので、最初は焦って「早く成果を出さないといけないのに、そもそも文字すら読めない状況で無力でしかないし、みんなに助けてもらってばかりで売上も立てられない…こんな私の存在意義って…」という申し訳なく肩身の狭い思いだった。

けれど、そんな売り上げを1元も立てられない1か月目に(しかも何なら大きめのトラブルも発生した中で)支社の皆さんから「影響力賞」に選んで頂いた。これは1か月の中で最も影響を受けた人を投票式で選ぶというもの。

まさか、何の成果もまだ出せていない自分を選んでいただけるなんて…とその時の自分は思ったけれど、同時に今までは成果が出せていないと存在意義は無いと思っていたという事でもあって。

けれどこの賞を頂いたことで良い影響力は決して成果だけじゃない。その人のスタンスや接し方、生き方。それが正しければ、見ている人にも伝わっていくんだ。それだけでも意義があるし、すばらしい事なんだ。ということを中国のみんなから教えてもらった。

同時に、みんなが受け入れて下さったんだという気がして凄く嬉しくて泣けた。この経験から、初めて「この組織の為に頑張りたい」という感謝からの愛着が湧いたのも自分にとっては新しい感情だった。

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その時のコメント、ここにも残しておく…!(※会社でムーミンって呼ばれてる。文章は原文ママ。)

■いつも頑張った姿を持って、感動しました。先輩なのに、誰よりも礼儀を重んじます!
■さすがベテランのベテランです。ムーミンさんはの案件共有は一番詳しかったです。企業の事業内容から、人物像まで一つ一つ説明していただいて、本当に感謝したいです。特に会社製品は言葉だけでなく、図面もよく書かれていて、助かります。ムーミンさんをみて、すごく安心します。
■とても丁寧で、何か教えてもらったときには必ずありがとうを言い、お客様に謝罪をしないといけない時は表情と声のトンと合わせて誠意を持ったお詫びをしているので、接客のプロだなと思っています。見習いたいです!
■プロ
■プロ―のRAとしていつも丁寧に企業を対応すること。
■案件や顧客の管理が細かく、一つ一つの仕事に妥協が無い印象を受ける。頑張っている姿を見ると自分も頑張らないと行けないだと思います。
■広州に移動したばかりなのにはやく新しい職場をなれて、日常の仕事の中から見ると、ほんとうにプロなraだなと思われます。プロなRAとしてのムーミンさんを尊敬します。そして迎える食事会では、いろいろ面白い発言を聞き、ギャップがあるかわいいと感じます。
■今月ムーミンさんの勉強会を聞く時、本当に感動させられました。
■資料を丁寧に分かりやすく作り、説明する時に、トーンやスピードに意識し、皆さんンの身近の事を織り込みながら、専門的な知識を分かりやすく説明してくれました。
■人に分かってもらうための工夫は私より倍で、本当に刺激を与えてくれました。私もムーミンさんのその工夫を身に着けて、お客様とのコミュニケーションに活用したいと思います。また、いつかムーミンさんみたいにパーフェクトな勉強会をやりたいと思います。
■困った時はいつでも相談に乗ってもらえるので、とても助かります。どういう視点を持てばいいのかなど細かく教えてくれるので、わかりやすいです!これからもよろしくお願いします
■仕事能力が超高い、プロな先輩だと思います。毎回案件を共有する時、事前にこの企業の製品や業界などを深く調べてくれて、分かりやすい文字と絵などを求人票プリント版に書いてくれて、CAが人材に推薦した時もこれらの知識を使えるので、すばらしいと感じます!
■礼儀やマナーが良く、いつも元気満々で仕事をしています。中国に来たばかりですが、慣れるのが速いです。
■知らないことなどを問い合わせしたら、直ぐ知りたい情報を教えて頂いており、仕事や業界などの関連情報がよく把握出来ていて、仕事がちゃんと出来ていると感じています。
生活も仕事も楽しんでいる姿に影響を受けております。

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日本と中国のスピード感

先ほど「日本のスピード感そのままに、早く成果を出さなきゃと焦っていた」という話を書いたけれど、中国配属後はじめての社長面談で言われた言葉も心に残っている。

私は1年間の成果計画をかなり早く×高く想定して面談に挑んだけれど、社長から「君はどんな角度で成長しよう・成果を出そうと思ってる?Aプラン?それともBプラン?」と問われた。このとき社長が書いてくれた図は下記2つ。

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私は即答で「Aプランです」と答えた。限られた短い時間で、早く成果を出さなきゃ意味がないと思っていたし、前に駐在していた先輩からも「早く圧倒的な成果を出すことが、信頼獲得の一番のカギになるよ」というアドバイスを受けていたこともあり、成果を出してからがスタートだ、くらいに思っていた。

けれどその時に社長が言ったのは「俺はね、Bプランを期待しているんだ。初めから成果が出るなんて思っていない。それが出るのは、後半でいい。人の成長は、Bの確度を描くものだよ。そんなに焦らなくていいんだよ。」という言葉だった。

常に“鋭い成長確度を描かなくては”と思っていた私からすると、最初この言葉を聞いたときには“期待されていないのかな。すぐに成果は出ないと思われているのかな。”とも感じたけれど(それだけ“私はすぐに成果が出せる”という自分への自信があったんだなと今は思うけれど笑)、そのプランで期待してくれたことで精神的にとても有難かったなと思う。

今まで自分にも、そして後輩にも、早く・高く、鋭い成長確度を要求してきた。けれどBプランで成長していくことを前提に見守って、支援していくこと。そんな成長支援の「時間軸」を自分自身もスタンダードにしていきたいなと思った。

※実際にBプランには心理的な安心感があった。この速度で猶予をもらえるんだ、見守ってくれるんだ、と安心できたからこそ最初の「学び期間」に罪悪感なく取り組めた。そして正しく状況把握し、此処での戦い方のクラッチ合わせにも心理的余裕を以て取り組むことが出来た。

Aプランで成果をいきなり出すことも出来ただろうけど、きっとそれは短命で裏技OR力技を使った成果に留まっていただろうなと思う。

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どこでも生きていける確信

中国に来てよかったなと思う事の1つが「ああ、私どこでも生きていけるんだろうなぁ」という確信を持てたこと。これまで海外に1-2ヶ月長期滞在することは数回あったけれど、1年間を通して暮らす・働くというのは初めての経験。生活基盤を完全に中国に移し、家族も友人もいない土地で生活を作る過程で、辛いなと思ったことが結局1つも無かった。

家が崩壊しようと、空気が汚なかろうと、言葉が通じなかったとしても、その環境に応じて自分を変化さえて変わっていけば良い。郷に入れば郷に従えで、その国の文化や環境を吸収して面白がれて、元来の柔軟性と好奇心に助けられた。どこに行ってもこれは変わらない自分の良さだなぁと思う。

同時に、仕事/職場/役割がある、というのも大きかった。もし自分が何者でもない外国人、として中国に来ていたらまた感覚は違ったかもしれない。その点は本当に恵まれた状態で中国に来れたなぁと思うし、だからこそ今後海外に行く際にも「仕事がある・仕事が出来る(もしくは自分が何か役に立つことがその地で出来る)」というのは自分にとって必要な要素なんだろうなと感じた。

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私ならやっていけるという自信

そして7か月を経て、2Q目からは売上も順調に達成しつつ今月は有難いことに中国全土で1番の売り上げを出すことができたみたい。日本にいた時には「今は上手くいっているけれど現実的には私は井の中の蛙で、大阪だからやっていけているのでは。今までの信頼貯金もあって、私だからと周囲に許されて甘やかされている部分があるんじゃないか。」と、外に出た時のことを考えると“実際何も残せないんじゃないか?”という不安が常にあった。

けれど、外に出て試して思うのは、やるやらはともかく「本気で成果を出そうと思えばどこでも出せそう」だと、外に出てようやく「一旦ここまでは出来るから自信を持とう」と思えた。

一方で、やっぱり成果を出すだけでは、うれしい気持ちにはなれなかった。冒頭で「成果が全てではない」という気付きを影響力賞から学んだことと同じように、数字的な成果よりも周囲の仲間のためになったと思える事や、自分だからこそと必要とされる瞬間の方が何倍も心が震えた。

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自分にとって大事なこと

中国に来て3か月が過ぎたころ、日本の本社人事役員の方と面談をする機会があった。その時に言われたことが今後も大事な軸になると思う。

「あなたはリアリティのある感謝をベースに、身近な誰かとともに高い目標を超えていくことが大事なんだね」「成果が出ないときは、やる気を失っている状態。サボっているというよりもあなたにとって大事なことを見失っているんだね。会社の目標や達成という評価判断を基準にするんじゃなくて本当に自分にとって大事なことを忘れてはいけないよ。」

このブレストを経て、質の良い経験をすることが私にとっては大事で、一人の成果ではなく、誰かとともに目指し達成することが喜びなんだなと改めて感じた。そして質の良い経験には、自分自身が「本心」であることも重要なんだと思った。

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そして陥るループは同じ

迎えた7か月目を目前に、中国に来て一番気持ちが落ちた。その要因は先日のブログに書いた「その場の正解に自分を合わせにいった挙句、自分の本心をアウトプットできずに自爆」という何度も何度も通ってきた道。過去のブログ見返しても、1年に1回は陥ってるやないかと自分に突っ込みたくなるし、なんかまた繰り返しそうやなー・・何回陥るんだよー・・と自分に若干呆れて泣きそうになる。。

けどこれも、結局いろいろ真っ白にして来たはずの中国でも残る「自分の特徴」。良い意味で言うと「自分に矢印を向けて何事も自責に捉える」「まずは自分で考え行動する」「高い目標を掲げ、戦略的に最短ルートを模索する」という特徴なのだけど、一方で抱え込みすぎて自爆というループに陥ってしまう。

結局この解決策は本心で話す/本当に自分にとって必要なもの以外は手放すの2つしかない。また陥った時には「本心でとりあえず全部話せる人に全て話して。」「今人生かけて本当に欲しいものは何?ちゃんと選択して。選択は“捨てること”でもあるよ。」これを実行するしかない、って今後の自分にも言い残したい。

最近親友にようやく話せる突破口が作れたことで、その後も衝撃的な出来事なんかもあったのだけど 自分で抱え込まずに話せたことで本当に気持ちが楽になって息苦しさもスッと消えていく。本当に親友の存在が有難い・・尊い・・(;;)

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真っ白な中で感じた「自分」

色々積み上げたものを一旦おいて、何もない環境に来て感じた自分自身を振り返ってみた。中国に来ると決めた時は、これまで日本で積み上げたものを全てフラットにする決意で来たけれど、実際には無くなるわけじゃなく自分の一部になっていたんだなぁと思った。

・謙虚さを以てまずは学ぶ姿勢
・最短ルートを見定めて成果を出す
・無駄なことはしない
・信頼できる人が必要
・人の強みに着目する
・そしてそれを伝えること
・環境を受け入れて自分が変わる
・必要ないものはすぐ切り捨てる
・思い立ったら即行動できる
・飲み友達はどこでも出来る
・誰かにコミットしないと継続出来ない
・伝わる伝え方を考えること

逆に日本では重要だったものが、中国に来ることで無くなったものもある。

・自身の成果と、そこへの呪縛
・日本の同僚たちとの比較
・ごく親しい人以外との接点
・通勤電車に乗ること
・誰かが決めてくれる道筋
・過度にお酒を飲むこと
・凄く優秀な人との比較
・上がり続ける目標
・過度な生活環境への期待
・暗黙のマナールール
・他者優先

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此処にきても夢は変わらなかった

2019年の目標は、あえてフラットに生きてみることを掲げていた。全て真っ白にした上でドリフトして、最終的に何が残るのかを見たかった。夢についても「固執」しているのか、それとも本当にしたいと思っているのか、あまりに長年付き合い過ぎて分からなくなっていた。

何もかもフラットにしたら、今までにない発想や選択肢が増えたりするんだろうか?と思っていた。ここまで環境が変われば、自分自身も大きく変わったりして?とも。

結果、現状として夢は変わらなかった・・!自分自身も変わったというよりも「本当に残るものに気づいた」感覚に近い。むしろ、ここまでフラットにして「どんな選択だって取っていいよ!」という環境を自分自身に与えたにも関わらず、「やっぱこれなんです」と言われてしまうと、もう確信せざるを得ないという状況になった。

自分に責任取らなきゃなぁという気持ち。(親友には“長年連れ添ったパートナーに対して責任を取らなきゃなぁ”という気持ちに似てるという話をした。笑 そしてそれが無くなったときには“自分の中で大きな喪失感を感じた”という状況も今年経験し、この夢ありきでの自分なんだなぁだと実感するに至った次第。。)

とはいえまだ5か月あるので、その中でまた違った経験が待っているんだろうなぁと思う。ちょうど半年を超えて、なかなかに落ち着いてきた感があって、逆に焦る気持ちも芽生えている状況。

役割としても自分⇒組織、現在⇒未来へと、求められることも変わったタイミングでもある。中国生活の終わりを迎えた時に、どんなことを感じているのか。今の気持ちと比較するのが私自身も楽しみ!

引き続き、健康に気を付けて、ありのまま手ごたえをもって進んでいけたらなと思います。今年も残り2ヶ月。みなさんの年末も素敵なものになりますように◎

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chika
About chika
フィンランドが好き過ぎて12年以上通い続け、ディープな楽しみ方を味わいつくした自他ともに認めるフィンランドオタク。移住のために会社員生活のかたわら寿司職人の修行を始め、ついに2022年春に移住。モットーは「とりあえずやってみる」。好きなものは水辺、ねこ、酒、1人旅。

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