【かもめ食堂プロジェクトVOL.29】自分の加齢と共に歩める無理のない店づくり

先週、久々に2年間修行をしていたカフェ
お客さんとして伺いました。

久々の再会

カフェ修行を卒業してから、
足が遠のいていた中で
少しドキドキしながら
カフェのある街へ。
「ああ、週末ごとに
この駅に降り立っていたなあ」
なんて懐かしい気持ちになりながら。

梅田のど真ん中にあるのに、
懐かしい街並みを残した中崎町に
そのカフェはあります。

街に来ること自体が1年ぶりくらいで。
新しい店や幼稚園ができたりと
少しだけ変化はありましたが、
訪れたカフェの面持ちはそのままで。

カラカラと木枠のドアを開けると、
ちょうどオーナーがお客様の接客中。

顔を見るやいないや「久しぶり!」と
迎えてくれました…

久々のお伺いになってしまった事をお詫びし、
席に着きました。

落ち着く店内

このお店は、私がかもめ食堂プロジェクト
はじめる時に「女性オーナーがこだわりを持って
1人で切り盛りしているお店で修行したい」と
週末アルバイトに申し込んだことがきっかけで
2年間の修行をさせていただきました。

当初望んだ通り、オーナーのこだわりが随所まで
現れた「唯一無二」の空間。

カフェ修行を終えてから、
おこのみやき修行も半年間経験しましたが
やっぱりオーナーのカフェに流れる時間や
まるで気心知れた友人の自宅に招かれた様な
「居心地の良さ」がある
このカフェが大好きだなと改めて実感。

・ストーブの暖かさが店内を包んでいること
・こだわりのアンティークチェアやテーブル
・オーナー自らDIYした店内
・自宅で使うものと同じ調理器具
・毎日変わる旬の野菜を使ったおばんざい
・毎朝丁寧に出汁をとって作るお吸い物
・オーダーを受けてから豆を挽いて淹れるコーヒー
・オーナーが好きな洋楽が流れる店内
・「店長」の黒猫がお客さんに挨拶周りをすること
・築100年の古民家が醸し出す新築にない味
・好きな服を自分らしく素敵に着こなすオーナー
・冬の寒い日にはお冷を白湯にしてお出しすること
・お昼から夕方までの営業
お客さんを選ぶ強さを以って選ばれていること
・お試しで出しているの、
という小鉢のビシソワーズ

・レジがアンティークの缶なこと
・自宅みたいなキッチン
・小さなお庭があること
・レトロな金魚鉢に泳ぐ小さな魚
・ほんのり暗い店内に差し込む日差し
・お食事をお持ちした際のお客様の声
・お会計の時の短い会話
・チョークで手書きされたランチボード
・緑に包まれた扉
・全てハンドライティングのメニューや看板
・落ち着いたら自分のコーヒーも淹れて
おしゃべりに興じてくれるオーナー

一夜やそこらじゃ出せない、
お金をかけたからって出来るものでもない、
10年間の年月とオーナーのらしさが
積み重なって生まれた
独自の「間」と「雰囲気」。

・・・久々に訪れて尚引き立つ、
このカフェならではの雰囲気と魅力を
たっぷりと感じ、
胸がいっぱいになりました。

やっぱりこのカフェが好きだ・・。
こんな「しっくり来る」
自分らしいお店を作りたい。

もちろんお店作りで一番失敗するのが
「自分が作りたい」店を作ってしまい
お客様が求めていること、の観点が抜けてしまうこと…
というのも理解しているのですが。

やっぱり やりたくない事(等身大じゃないこと)
をしても、それを続けていける気がしない。

自分の加齢とともに歩める
無理のないお店づくり
をしたいと思いました。

予算に関しても、元々オーナーは
「300万円で出来るお店」を上限に
自ら工夫を凝らして開業をしています。

逆に、この予算で出来なったら辞めよう
とも思っていたそうです。

なんだか夢を抱いてから年数を重ねるごとに
「もっとこの位必要なんじゃないか」と
目標額に達しては更にまたハードルを上げて…
を繰り返してしまった気がします。

念には念を、も大事だけれど
最近の感覚ではそもそも大好きな
この等身大の感覚を失ってしまう…と
実感できたのでした。

「原点」の様な場所に来れて
本当によかった。

その日、オーナーと話したことについても
また追って書こうと思います。

chika

フィンランドが好き過ぎて12年以上通い続け、ディープな楽しみ方を味わいつくした自他ともに認めるフィンランドオタク。移住のために会社員生活のかたわら寿司職人の修行を始め、ついに2022年春に移住。モットーは「とりあえずやってみる」。好きなものは水辺、ねこ、酒、1人旅。